TOEICの長文に苦手意識を持っている受験者は多いです。
- 長文が読めないんですが…
- 時間が足りません
- 読み方を教えて
僕もそんな感じで長文ができないタイプでしたが、今は時間も余るようになり、TOEICリーディングだけで470点ほどとれます。
このページでは長文問題で苦戦している人がスコアを上げるために押さえるべきポイントについて解説します。
著者のTOEICスコア
TOEIC満点の人には遠く及びませんが、参考程度に読み進めてもらえば幸いです。
11月28日の結果
自己ベスト更新したのにリスニング力は低下中
(リスニングは満点とったこともある) pic.twitter.com/lMddEDoRWT
— KY_ENGLISH|TOEIC950+リスニング満点攻略済 (@ky_english) December 14, 2021
TOEICの長文問題はなぜ難しいのか?
具体的なコツの話に入る前に、なぜ長文問題を解けない人が多いのか、その理由を考えてみました。
結論は求められるスキルが多いからです。
TOEICの長文問題は総合力の勝負
TOEICで長文を読むのに求められる能力を分解してみると以下のようなものがあります。
- 語彙力
- 文法力
- 論理力(要約力)
- 集中力
- 処理能力
どれか一つが欠けても長文問題で高得点をマークすることはできません。
総合力勝負なので1日2日徹夜して頑張ったくらいではどうなるものでもないんですよね。
ある程度のまとまった時間(100時間〜300時間くらい)がかかることをわかった上で長期戦を覚悟して日々、地道に継続できるか。これが実は一番重要なポイントになります。
じゃないと、「高得点を取る人は何か特別なテクニックを使っているのでは?」「どこかに1日でスラスラ読めるようになるトレーニング方法はないかな?」などと考えてしまい、かえって遠回りになります。
いきなり裏ワザ探しの旅に出るのはおすすめしません。
TOEICの長文対策として日々やるべきルーティン(英語学習習慣)
長文対策として有効なのは日々の学習の中で上記の能力を高めること。手間を惜しまずに、日々、ほんのちょっと改善を重ねるイメージです。
それだけで驚くほど読む力が上がります。
これから書くことを習慣的にやっていればそれぞれの能力は自然に高まります。
なぜかと言うと各ルーティンが長文を読むために必要な能力を高めるのに直結しているからです。
なにか特別なトレーニングをやっていると思いがちですが、現実はかなり地味な努力を手を抜かずに愚直にやっているだけだったりします。
ルーティン化すべきこと
- TOEIC頻出語彙・語句を押さえる
- 読んでいて詰まった時は原因を分析する
- できなかった問題を定期的に見直す
- 時間配分を決めて時間を測って解く
- 声を出して読む
- 文脈や文章の目的を意識して読む
- 毎日英語に触れる
- 問題形式を把握する
ここからはそれぞれの習慣がなぜ重要なのか、なぜやる意味があるのか、どんな能力の向上につながっているのかについて解説します。
TOEIC頻出語彙・語句(単語・イディオム)を押さえる
長文をスラスラ読むのにボキャブラリーが豊富なほうが有利なのは言うまでもありません。
まずはどんな語彙がTOEICでよく出るのかを把握し、インプットすること。もちろん、1回だけだと完璧には覚えれないので複数回繰り返します。忘れるのはしょうがないのでその都度覚え直します。
こういう作業ははっきり言ってダルいのでスルーしがちですが、長文が読めない人ほどこういう作業をサボっています。
長文が読める人は、読んでいる時に意味がわからないものが出てきたら放置せず、ちゃんと見直します。また、ちょっと見直すついでに発音も押さえておくのでリスニングにも効果があります。
こういう地味な努力によってできる人とできない人の差はどんどん開いていきます。
▼僕がまだ900点に到達してなかった頃、パーソナルコーチにボキャブラリーの重要性はよく言われてました。
よく見る言い回しのストックを増やそう
語彙力と言うと知ってる単語の数をイメージするかもしれないですが、個人的にはフレーズなどの語句も含めて語彙力だと思ってます。
TOEICの問題は似たようなパターンが多いので「これ、見たことあるやつだ」「また使われてるよ」というような瞬間があります。こういう定番フレーズを増やすことが重要です。
何度も見かけるものは覚えようとしなくても自然と覚えられますが、見慣れた文章はそれだけ処理する速度が早くなります。
読んでいて詰まった時は原因を分析する
英文がスラスラ読めないのは使われている文法がわかっていないか単語・イディオム・構文などがわかっていないということ。読んでいて詰まったらそこをスルーせずに立ち止まる勇気が必要です。
単語レベルではわかるのにどうしても意味がわからないなら文法の理解が甘いということですが、自分では気づけないこともあるのでTOEIC満点レベルの人に聞いちゃったほうが早いかもしれません。
地道に分析と改善を繰り返すことで次に似たような文章が出た時に詰まらなくなり、それだけ早く読めるようになります。
▼僕が関係詞をマスターできてなかった頃のやりとりです。長文を読みたかったら苦手を絶対に放置してはいけません。
できなかった問題を定期的に見直す
できなかった問題は忘れる前に定期的に復習しましょう。
伸びない人は新しい問題ばかりを解こうとして失敗しますが、1回やってできなかった問題をできるようになることのほうが百倍効果的です。
新しい問題を何問解いたところでできなかったところを放置していたら、同じタイプの問題はいつまでも間違い続けます。
時間配分を決めて時間を測って解く
本番で時間が足りなくなって後悔しないためにも、練習の時点で時間を意識しておくことが重要です。
自分の目標に合わせて1問何秒で解く必要があるか把握し、常にそのペースで練習しましょう。
全問解き終わるための一般的な時間配分
- Part5+Part6:20分
- Part7:55分
もちろんペースは現時点のレベル感によって大きく変わります。初級レベルの人は絶対にこの通りできないので自分の力量に合わせてください。(全部解くのはあきらめて55分で30問確実に解く力をつけるとかもでOKです。やるべきことをやってればちょっとずつ伸びていきます。)
※初心者だからといって時間を意識せず、ダラダラとやるのはなしです。それだといつまでも処理能力が上がりません。
声を出して読む
TOEICのL&Rはスピーキングが必要ないので声を出す練習はやってない人も多いですが、実はリーディングに効果絶大です。
長くなるので要点だけ書くと
- 英語の語順で理解できるようになる
- チャンクとして処理できるようになり、内容を覚えておける
- TOEICの問題を時間内に解くためのスピード感が体得できる
などメリットがたくさんあります。
詳しくは停滞中のTOEICスコアは音読で爆上げ可能【やり方と条件を解説】に書きました。
文脈や文章の目的を意識して読む
文章をダラダラ読むのではなくて、重要な箇所とそれ以外でメリハリをつけて読みます。
ポイントとしては文章の目的を把握すること・文章のつながりを意識することです。
- 誰が誰に当てた文書なのか
- 何のための文書か
- 代名詞(thisとかitとかのこと)が指しているものは何なのか
質問になるのは上記のような箇所です。
結局のところ、文をちゃんと読めないと答えられないところが聞かれます。
毎日英語に触れる
英語に触れる最低限の時間を決めてキープすればすべての能力に好影響があります。毎日触れている限り、落ちることはありません。
試験直前期は2時間くらいやる
集中力維持のトレーニングも兼ねて直前期は本番と同じ2時間を確保してもいいかもしれません。
毎日2時間は無理でも本番前は少し粘れるはずです。2時間やっておけば、本番で必要な集中力とかスタミナの強化になって有利です。
問題形式を把握する
質問の傾向を知っておくのは長文パートに限らずですが、かならず必要です。
TOEICのリーディングで高得点をとる常連であれば「あ、このパターンね」「見たことあるやつだ」という感覚を絶対に持っています。せっかく受験前に頻出パターンがわかっているわけなのでまずはそのレベルになるまでやり込むのがポイントになります。
たまには新傾向の問題も出るので、さすがにすべてがパターン通りになるとは言いませんが、肌感覚で言えば95%の問題はパターンに当てはまっています。
TOEICで出題される長文問題のパターン・傾向・ジャンルのまとめ
▼問題形式の把握は僕がパーソナルコーチによく言われてたことです。
パターンを知ってれば難しいと思った時にいったんスキップできる
中には自分が苦手なタイプのパターンもあるかもしれません。
そういうのもやはり問題形式を把握しているからこそ慌てずに対処できます。他の問題を解き終わってから戻ってくるようにすれば、取りこぼしも少なくなります。
ルーティンとそれぞれに期待できる能力
語彙力 | 文法力 | 論理力 (要約力) | 集中力 | 処理能力 | |
---|---|---|---|---|---|
TOEIC頻出語彙・語句を押さえる | |||||
読んでいて詰まった時は原因を分析する | |||||
できなかった問題を定期的に見直す | |||||
時間配分を決めて時間を測って解く | |||||
声を出して読む | |||||
文脈や文章の目的を意識して読む | |||||
毎日英語に触れる | |||||
問題形式を把握する |
上の表ははあくまでも僕が考えるイメージです。
TOEICで出題される長文問題のパターン・傾向・ジャンル
TOEICの長文も結局のところパターンの組み合わせで作られているだけです。
そういうと「パターン以外が出たらどうするの?」と裏をかきたがるひねくれ者もいますが、そういう人はあまりうまく行きません。
ちょっと考えてみてください。
TOEICスコアは採用や昇進の基準に用いられることが多いので、突然、大幅に変わることはないのです。毎回スコアが大幅に変わったら信用できないですからね。仮にそうなったらみんなTOEICを使わなくなりますよ。
安定感こそが価値なのです。TOEIC運営が自身の首を締めるようなことをやるでしょうか?
この範囲に収まるものしか出ないと考えるほうが圧倒的に自然です。
出題形式
問題文
シングル
ダブル
トリプル
質問
単語挿入
文法的に正しい単語や意味的に適切な単語を選ぶ
文挿入
空欄の前後をヒントに適切な文章を選ぶ
同義語
意味が近い語句を選ぶ
意図
発言の意図を選ぶ
推測
与えられた情報から推測する
詳細
適切な数字・時間・人名を選ぶ
クロスリファレンス
複数の文章から答えを導くタイプの問題
センテンスAとセンテンスBが離れた場所に(別のパッセージに)書かれていることもあり、時間がかかる傾向があります。
not
文章に書かれていないことを選択肢から選ぶ
選択肢のうち3つが正しくて、1つが間違えているような問題です。間違えている選択肢を選ぶわけですが、頭が疲れているとうっかり正しい選択肢を選んでしまうので注意したいところです。
題材
Eメール
チャット
手紙
広告
ニュース記事
Webページ
アナウンス
予約
請求書
TOEICの長文に関してよくある質問
文章は全部読む?
長文問題は部分的に読んでも解けないことがほとんどなので、基本的に全部読みます。とくにダブルパッセージ、トリプルパッセージの問題は飛び飛びに書かれている情報から答えを導くことがあり、部分読みだと解けません。
ただし、厳密に言うと、フォーマットが決まっているようなものの場合、一字一句最初から最後まで読んでいないこともあります。じっくり読むところと流し読みするところで緩急をつけるという意味。
例えば、メールに含まれているbest regardsとかは読み飛ばします。
なのでもしかしたら95~98%位かもしれません。
長文を訳せません
初級レベルの人は勘違いしがちなポイントかもしれませんが、TOEICは日本語訳をするテストではないので訳はしようと思わなくて大丈夫です。
というか、リーディングで長文を解き終わるレベルの人は日本語訳して問題を解いているわけではありません。
英語を読んだ瞬間に訳さずに理解するくらいのレベルに達しているから解けるんです。例えば、Thank youと言われた時、いったん「ありがとう」に日本語変換しないと理解できないなんてことはないはずです。
なので、まずは訳さなくても意味がとれる文章を増やすことを目標に学習量を増やしてみてはいかがでしょうか?
もちろん、学習を始めた頃は日本語を介して英語を理解する時期もあるのですが、学習が進むにつれて読んだ英語をそのまま理解できるようになってきます。
この感覚は多分、TOEIC500~700点くらいから徐々に加速するはずです。
早く読むコツはありますか?
早く読める人も、すべてのジャンルの文章を一定の速度で読めるわけではなくて、バラツキがあります。結局、文法や単語がわかる文章だけが早く読めます。
なのでTOEICの文章を早く読みたければ、基礎力を付けた上でTOEICに出るような文章をたくさん読むこと。
これが早く読むコツと言えばコツです。逆に言えば、TOEICに出ないようなことまで手を広げなくても良いでしょう。
それから僕が効率的に解くために取り入れているマイルールのようなものは確かにあります。
Part6とPart7で違うのですが、以下のようなものです。
Part6
TOEICパート6攻略の要点をポイントとしてまとめると次のようなものです。
①全部読む
②必ずしも順番通りに解かない
③決めておいたペースを守る
詳しくはTOEICのパート6対策|3ステップで攻略できるに書きました。
Part7
TOEICパート7攻略の要点をポイントとしてまとめると次のようなものです。
①単語・文法を完璧にする
②処理能力を上げるために音読する
詳しくはTOEICのパート7対策|55分で解けるようになる方法に書きました。
これをやったら劇的に変わるかというとNOです。あくまでも効率的に解くために決めた僕のルーティンと考えてください。
集中力が続きません
毎日やって集中力が持続する時間を増やすのが一番です。
なのでTOEIC用の時間を予め確保することが何よりも重要になります。
やったりやらなかったりしていると、感覚が鈍ってしまってぎこちなくなるのは英語に限らず他のスキルにも言えることじゃないでしょうか?
個人的なオススメは
TOEICだけに集中する期間を予め決めること(3ヶ月とか6ヶ月)
普段は1時間以上、試験直前は2時間くらいの学習量を確保すること
です。
ただし、頭が完全に疲れて切っていて集中力が続かないパターンもあります。その場合は思い切って休むことが必要です。
長文対策にオススメの問題集は?
多くの受験者が使っているようなものを使っておけば大丈夫です。
わからない時にSNSとかで質問しやすいからです。
それと多分、誰も知らない特別な問題集を使っている人のほうが少ないですよ。
問題集探しを頑張るよりも
- 語彙力
- 文法力
- 論理力(要約力)
- 集中力
- 処理能力
を高めること意識しましょう。
あえて言うなら、僕がセレクト時に重要視する条件は長文に音声がついているかどうかですね。